総論 ◆第34節 雑音を嫌う
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第34節 雑音を嫌う


  1. 日本では、人中での作法というと、雑音を立てることより、形の悪くなることを嫌う。
    国際作法では、反対で、形は二の次。雑音を立てることを、すこぶる嫌う。
    ひそひそ話。ひとりごと。咳の音。鼻をかむ音。イス音。食器の音。子供をキャーキャー言わす音。足音。ドアの音。カネの音。カギの音。
    音を立てないことにつき、まず、うまくなられよ。

  2. 雑音について、ついでに考えておきたいことは、「緊急」のときの「叫び」についてである。
    自分が危ないとき、大声を出してよい。
    このとき、一般作法を忘れてよい。

  3. が、自分が危ないからといって、大声を出したとき、そのため、かえって、相手を狂暴にする可能性があれば、声を出しても、小声しか出せない。

  4. 次に、自分は危なくないが相手が危ないものとする。そのとき、大声を出して、注意を与えれば、作法的ですらある。

  5. が、こちらが大声を出したため、相手が、かえって、ビックリして、動けなくなってしまったとすれば、これは、結果が悪い。

  6. また、相手が危険とあって、大声を出したとき、まわりの人たちが動揺しなければ、この大声は、出したほうがよい。

  7. が、まわりの人たちが動揺して、その場の秩序が混乱に陥る可能性を感ずるとき、大声を出せない。

  8. いずれにせよ、大声は、「危険」に対してのみ、発するものであり、その危険のときすら、影響を考えて、発しなければならないものである。

  9. スポーツのとき、その観覧のとき、ロックなどの観覧のとき、大声を出すのは、日ごろ、大声を出せない社会習慣からくるストレス解消のためと見たい。

総論
[エージェントマンに作法は要るか] [作法とは] [作法の目的の分解] [作法は自分のためならず]
[「われわれ」の伸縮] [「より外なるわれわれ」のために] [互恵主義] [作法は森羅万象のためのもの]
[品物を大切にせよ] [与えられた文明には心が乗りにくい] [ゴツイ人物のやり方]
[自分自身がどうしてよいか分らないとき] [どうしようか迷っている相手に対しては]
[作法的なつもりで無作法を行なう者をどうするか] [改まり方・くずし方] [作法とサービス]
[作法と生産性] [心と型] [動機論か結果論か] [媚と反媚] [作法と自然さ] [作法の流儀]
[統一型作法と並列型作法] [欧米との流儀の融和] [アメリカ作法を見誤るな] [一般と特殊]
[3種類の動作] [作法と体型] [作法と風習] [作法と大衆] [作法と女性] [異なるセックス意識]
[作法とヤング] [雑音を嫌う] [あとしまつの技術] [縮小化のわきまえ]
[そこまでやるのか。そこまでやるのである] [作法のために頭が痛くなれ] [教授法での注意]
[説明するな] [作法研修先での注意] [この本での対象作法の限定] [この本の編序] [用語の約束]
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