総論 ◆第20節 媚と反媚
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第20節 媚と反媚


  1. 作法と媚(こび)とは、関係がない。作法を媚の手段であるように思うのは、教養が足りない。しかして作法を媚の手段に使おうとしてはならない。

  2. 作法を守っている者を眺める第三者が、「あいつは媚びてやがる」と思うのは、たとえ、そこに媚の事実があったとしても、好ましいことでない。

  3. 自分が媚びていもせぬのに、第三者から媚びていると思われないようにするため、故意に、粗暴な振る舞いをして見せる者は、最も、人間として、幼稚な者である。
    たとえば、相手につっかかっているところを第三者に見せようとするなど。つっかかれば、相手との間がうまくゆかない。歯車と歯車の間すら、油がよく入らなければ、歯車同士、よく回わらない。人と人とが、つっ張り合っていて、何ができようか。

  4. 丁寧にしている人を見て、とやかく、思うものでない。自分が丁寧にすることを、第三者から、とやかく,思われると気にするものでない。すべては、さらっとしていなければならない。

総論
[エージェントマンに作法は要るか] [作法とは] [作法の目的の分解] [作法は自分のためならず]
[「われわれ」の伸縮] [「より外なるわれわれ」のために] [互恵主義] [作法は森羅万象のためのもの]
[品物を大切にせよ] [与えられた文明には心が乗りにくい] [ゴツイ人物のやり方]
[自分自身がどうしてよいか分らないとき] [どうしようか迷っている相手に対しては]
[作法的なつもりで無作法を行なう者をどうするか] [改まり方・くずし方] [作法とサービス]
[作法と生産性] [心と型] [動機論か結果論か] [媚と反媚] [作法と自然さ] [作法の流儀]
[統一型作法と並列型作法] [欧米との流儀の融和] [アメリカ作法を見誤るな] [一般と特殊]
[3種類の動作] [作法と体型] [作法と風習] [作法と大衆] [作法と女性] [異なるセックス意識]
[作法とヤング] [雑音を嫌う] [あとしまつの技術] [縮小化のわきまえ]
[そこまでやるのか。そこまでやるのである] [作法のために頭が痛くなれ] [教授法での注意]
[説明するな] [作法研修先での注意] [この本での対象作法の限定] [この本の編序] [用語の約束]
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