総論 ◆第31節 作法と女性
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第31節 作法と女性


  1. 古代ギリシア、ローマもそうであったし、キリスト教も、女性を崇拝するよう男性に命じたことは、1度もなかった。男性に、女性を保護せよと命じてきただけである。

  2. キリスト教の入ってくる前の時代のゲルマン人たちは、「みこ」の神がかりによる命令を中心に、すべてを律していたので、ゲルマン神話、伝統には、姫君のために、命を捧げる勇士の話が多い。
    このことが、キリスト教時代に入っての中世にも、騎士道という形の中の女性保護、女性優先、女性崇拝という形で生きていた。

  3. 次に、だいたい1500年。イタリアにおいて、オーバーな女性崇拝の風習が起こり、これが、1600年、1700年と、全ヨーロッパに広がった。

  4. 女性を、尊敬してみせる、この欧米の風習は、今後の500年間、すなわち2500年ごろまでにおいて、人類が、これを、どう、変えていくかが残る問題である。

  5. つまり、いくつかの点で、過去500年間に進んできた欧米風調の中には、男性ベースで女性を高めたため、女性を男性にしてしまった点が認められる。

  6. つぎに、日本としては、この敗戦後に生じた数十年間のみの異常さを別にして考えるとき、いまだ、欧米に遅れている点が目立つ。すなわち、欧米が、過去500年間に進めた女性への保護と、女性そのものが、社会的に無責任な行動をとらなくなってきている点について、日本は、これから、さらに、がんばらなければなるまい。

  7. 端的な話、信号を待って横断歩道を渡るというとき、日本では、男性が、女性を先にして渡っていくことをしない。また、日本で、信号を無視したり、横断歩道の途中から、斜め横断に転ずる人物に、女性のほうが多い。自宅で,自分より先に、みんなに食事をさせたりできる女性が、ひとたび、公共空間に出るや、そこで、だらしなくなるのは、社会的な女性に対する保護と制裁がないからである。

  8. 作法にあって、日本には、現在のところ、異常な女性上位の作法は見当たらない。

  9. が、女性のために考えている作法が、昔から日本にあったものを、やめにしながら、新しくは、つくられていないため、女性が、男性作法をさせられている点が見受けられる。

  10. また、男性が、女性を保護する作法を、もう少し、補強しなければなるまい。

総論
[エージェントマンに作法は要るか] [作法とは] [作法の目的の分解] [作法は自分のためならず]
[「われわれ」の伸縮] [「より外なるわれわれ」のために] [互恵主義] [作法は森羅万象のためのもの]
[品物を大切にせよ] [与えられた文明には心が乗りにくい] [ゴツイ人物のやり方]
[自分自身がどうしてよいか分らないとき] [どうしようか迷っている相手に対しては]
[作法的なつもりで無作法を行なう者をどうするか] [改まり方・くずし方] [作法とサービス]
[作法と生産性] [心と型] [動機論か結果論か] [媚と反媚] [作法と自然さ] [作法の流儀]
[統一型作法と並列型作法] [欧米との流儀の融和] [アメリカ作法を見誤るな] [一般と特殊]
[3種類の動作] [作法と体型] [作法と風習] [作法と大衆] [作法と女性] [異なるセックス意識]
[作法とヤング] [雑音を嫌う] [あとしまつの技術] [縮小化のわきまえ]
[そこまでやるのか。そこまでやるのである] [作法のために頭が痛くなれ] [教授法での注意]
[説明するな] [作法研修先での注意] [この本での対象作法の限定] [この本の編序] [用語の約束]
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