総論 ◆第13節 どうしようか迷っている相手に対しては
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第13節 どうしようか迷っている相手に対しては
- マカロニは、フォークに巻きつけて、ポンと口に放り込み、口いっぱいにして食べるのが美味である。
また、イタリアに行けば、そうして食べるのがマカロニ作法である。
で、もし、A君が、そういう食べ方に上達しておられたものとする。
- A君の隣に、年とったB夫人が座っていた。B夫人は、マカロニのイタリア式食べ方を知らなかったし、と申して、その他の国々の人々が、マカロニをブツ切りにして食べる事実をも知っていなかった。で、B夫人は、モジモジし始めた。と申して、A君に聞く勇気も持っていなかった。
A君は、このとき、B夫人のために、どうすればよいか。
- A君は、このとき、まず、やりやすいブツ切り法によって、食べて見せることである。このため、マカロニの味は落ちようが、我慢したい。
B夫人は、それを、チラッと見ては、まねるであろう。
- が、B夫人が、相変わらず、モジモジしていたならば、A君として、放置するのがよい。とうとう、B夫人が、マカロニを食べ損っても、B夫人に恥をかかせることもあるまい。
- しかし、B夫人が、A君に向けて、「どうしようかしら」という素振りをしはじめたならば、A君として、ブツ切りをやって見せることである。
- また、もし、A君の皿の中に、すでに、マカロニがなくなっていたならば、A君は、B夫人に対して、小声で、「小さく、全部お切りになってから、フォークだけで、召し上がればよろしいようでございます」と教えることである。
- 以上、3,4,5,6,の変化の順序を間違えられるな。
【参考】
1974年入学の研究生2名、赤沼健至、神田茂、両研究生は、わたくしに、次のような質問をされた。
「いま、わたくしが、一軒のホテルに勤めていたものとします。そこのラウンジに、農家のおばあさんが、ポツンと座っていました。このおばあさんは、行儀のことなど、ほとんど、なにも、知っておらず、しかし、行儀よくしなければならない、といった風情で、実のところ、どぎまぎしていました。わたくしは、このおばあさんのそばに行って、なにかを言わなければならないことになりました。そのとき、わたくしは、威儀を正し、“お客さま……”と申すべきか、“おばあちゃん。あの、ですね……”と申すべきか、いずれが、よいでしょうか」
わたくしは、「周囲」の情況によると答えた。
では、周囲の状況がどういうとき、どうされるのがよいか、問題としておこう。
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