総論 ◆第19節 動機論か結果論か
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第19節 動機論か結果論か


  1. 「わたくしは、いつも、自分のことより、人々のことを考えています。そこで、スマイルといった表面上のことに気を配るのは、相手と自分を卑しめるものと思います」
    動機論的にのみ作法を追求すると、こういうことにもなる。

  2. 「わたくしは、相手を火の中から救おうと思ったので、相手を突き飛ばしたのです。で、相手は助かりました」
    これは、立派な作法である。動機も、結果もよいから。

  3. 「わたくしは、相手を火の中から、救おうと思ったので、相手を突き飛ばしたところ、相手が、窓から落ちて、死んでしまいました」
    これは、作法として半分アウト。動磯がよく、結果が悪い。

  4. 「わたくしは、相手を焼き殺してやろうと思ったので、相手を火の中に、突き飛ばしました。ところが、相手は、火の向こうまで飛んでしまい、かえって、助かりました」
    これは、作法としてアウト。動機が悪く、結果のみよい。

  5. 「わたくしは、相手を焼き殺してやろうと思ったので、相手を火の中に、突き飛ばしました。うまく、相手は、死にました」
    これは、動磯も結果も悪く、作法でない。

  6. 人は、まごころを込めて行なっても、人々に、迷惑をかけることがある。
    このとき、迷惑をかけることまで考えない、まごころは、子供のまごころである。
    迷惑を考えるまごころは、大人のまごころ。

総論
[エージェントマンに作法は要るか] [作法とは] [作法の目的の分解] [作法は自分のためならず]
[「われわれ」の伸縮] [「より外なるわれわれ」のために] [互恵主義] [作法は森羅万象のためのもの]
[品物を大切にせよ] [与えられた文明には心が乗りにくい] [ゴツイ人物のやり方]
[自分自身がどうしてよいか分らないとき] [どうしようか迷っている相手に対しては]
[作法的なつもりで無作法を行なう者をどうするか] [改まり方・くずし方] [作法とサービス]
[作法と生産性] [心と型] [動機論か結果論か] [媚と反媚] [作法と自然さ] [作法の流儀]
[統一型作法と並列型作法] [欧米との流儀の融和] [アメリカ作法を見誤るな] [一般と特殊]
[3種類の動作] [作法と体型] [作法と風習] [作法と大衆] [作法と女性] [異なるセックス意識]
[作法とヤング] [雑音を嫌う] [あとしまつの技術] [縮小化のわきまえ]
[そこまでやるのか。そこまでやるのである] [作法のために頭が痛くなれ] [教授法での注意]
[説明するな] [作法研修先での注意] [この本での対象作法の限定] [この本の編序] [用語の約束]
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