第6節 洋食食事時間の長さ
【通解】
- 会食とは、おなかを作ることのほかに、みんなで、楽しんで、食べることである。
長いときには、4時間かける。
- レストランとしては、たまったものでないが、値段によっては、それも覚悟ということになる。
【参考】
- 元来、人間は、1日1食であったようである。日本人が1日2食になったのは、室町期からとも言う。これが3食になったのは、はっきり申して、幕末から。
- 現代でも、朝は、飲み物1杯、昼にしっかり食べて、あと昼寝、夜は、酒が主で、食べても、シチュー1杯といった人が、けっこう多い。あるいは、昼抜きで、夜、しっかり、食べる人は、さらに多い。
- ヨーロッパも、1日1食の時代が長かったし、それに、金曜日は、まる1日、断食であった。断食あけには、それこそ、ゆっくり、長い食事をした。
AD870年代には、フランク王国(いまの、だいたい、フランス)のローマ教会は、農民の礼拝と断食の義務を、貴族などの半分に減免している。
- ヨーロッパで3食をはじめたのは、1610年代のオランダ、アムステルダムの人た
ちということのようである。ここでも、主たる食事は、昼で、夜は、だいたい、昼の残りものを食べたらしい。
- では、1日1食が2食になり、2食が3食になったのは、よけいに、身体を使い、それだけ大食を必要としだしたのかというと、そうでない。
頭は、使うようになっているが、身体は逆に、使わなくなっている。
つまり、1回あたり、食事時間を、切りつめてきているのである。
- そこで、オランダ料理に、冷たいものを皿いっぱいのせて出す習慣のあるわけもわかる。食べながら、働くということ。
- では、レストランが、客に時間をかけて食べるようにさせることは、よいか、悪いか。だいたいにおいて、悪い。
が、人間は、たまには、昔、やってきたように戻りたい。で、そういう面では、よい。
- 日本では、お客様が食事中に「おいしいですか」「おいしいでしょう」というのは失礼である。「もっと食べるか」「もっと何か欲しいか」と聞くのは失礼である。で、何と言うのかといえば、「お口に合いませんのに、まずいものを差し上げました」という
意味のことを言い、「でも、もっと召し上がっていただきたい」とのみ言う。
これに対して客としては、まずくても「おいしい」と言い「おなかがいっぱいでございますので、もう結構でございます」とのみ言う。
欧米の場合は、「たいへん、おいしい、もっと下さい」「たいへん、おいしいが、おなかがいっぱいなので、もう結構ですよ」と答える。ただ「たいへん、おいしい」とのみ言えば、際限なくついでくる。
これは、中世の Inn の風習である。「もっと何か欲しいか」と聞かれれば、素直に「ワインが欲しい」「水、果物、肉が欲しい」と、素直に告げるのが、欧米流のマナーである。
第7章 飲食・喫煙