第36節 料理の残し方
【型1】カスをまっすぐに皿の上に吐き出すな
口から、吐き出したいものは、けっして、まっすぐに皿の上に吐き出されるな。
【型2】カスを口から出す方法
- 口の中の骨や固い物は、口唇付近まで出してきて、フォークをスプーンのように持ち、フォークの先の部分に載せ、皿の右上のところに置き、このとき、要すれば、ナイフの先で、置くことを補助するというのが、正餐のときの作法である。
おもしろい料理ほど、固い物を、口から出す仕事が多いので、このフォークを使っての処理法に、うまくなっておかれよ。
- 略式では、左手の指に、フォークの先のかわりを務めさせるわけであるが、欧米では、これを、教養ある行為と見ていない。
- 舌平目を食べるようなとき、小骨が、口の中を、ゲリラする。で、このとき、右手で口を掩い、小骨は、下口唇の上に、押し出しておいて、フォークの先で、ひっかけ取るのである。そのことは、小骨1本ずつしかできない。そこで、背びれのあたりの肉を、小骨20〜30本とともに、あんぐりやると、そのあとの処理が厄介となる。欧米人は、だいたい、このあたりを、始めから、食べない。
吐き出した小骨は、皿の1時のあたりにナイフで、払い落とされよ。
- 1〜2平方cm ほどの大きさのものを、吐き出すときは、同じく、右手で口を掩い、左手のフォークの上に、吐き出し、それを右手で掩ったまま、そのものを皿の6時あたりに置き、もし、皿の上に、大きな肉塊などが残っていれば、吐き出した物を、ナイフとフォークでその肉塊の下にかくされよ。
ただし、その肉塊を、そのあと、食べてしまったときは、吐き出した物を皿の奥半分に、ナイフ、フォークで移動して置かれよ。
たとえば、ポーク・シチューの肉塊といったものを切り、食べてみたとき、異臭に、参ることがある。
- さらに、大きなものを吐き出すためには、まず、ナイフ・フォークを置き、左手をまるめて、その中に、吐き出し、それをひとまず、皿の6時のあたりに置き、ナプキンで口をふく所あたりで、左の手のひらをぬぐい、それから、ナイフ・フォークを手に取り、その吐き出したものを、4. での処理と同じにされよ。
- けれども、それらを、皿の上に残すのが、おおいにぶざまであると思われるときは、自分のハンカチーフを出して、吐き出したものを包み、そのハンカチーフをズボンのポケットなどに、しまわれよ。
食事が済んでから、トイレに行って、そのハンカチーフに包んであるものを、捨ててくることになる。
- 食べ残した食べ物は、皿の奥半分に、集めて置かれよ。
【型3】料理を残す方法
なお、料理は、出されただけ、すべて食べるのが、作法であるが、嗅いや、味や、量において、苦痛を感ずるにかかわらず、努める必要はない。「これは、いかん」というようになったならば、ナイフ、フォークを、食べかけの形に置き、あとは、まわりの人に話しかける
ようなことをして、時間をかせぎ、まわりが、食べ終わった形になったとき、「いや、話に、
夢中になりすぎまして。わたくしは、この皿の物を、食べるのを、やめておきましょう」と、
いわぬばかりの風情で、食べ終わった形に、ナイフ、フォークを置きなおすとよい。
【型4】卓上に落ちていたものの処理
- 料理皿を引かれてみると、テーブルの上に食べ物の切れはしが落ちていることが多い。
これは、平気で指でつまんで、パン皿の一隅に置かれよ。
- パン皿も引かれたあとで発見した食べ物の屑については、知らぬ顔をされよ。いわんや、床の上に、はらい落としたり、されるな。
【型5】銀紙の処理
ケーキなどを食べたあとの銀紙の処理について、いくつか種類が考えられる。
- 本来の型
食べ物の残りカスを皿の1時の方向に集めて置く方法がある。これと同様に、銀紙も本来、食べ物の残りカスと考え、銀紙を折りたたみ、皿の1時の所にたたんで置く。これが、本来の方式である。しかし、これは、ウェーターが皿をさげるときに、銀紙が皿の上から落ちやすいので、現在の作法では、あまり行われていない。
- 悪い例
銀紙で、フォークとナイフの先をぐるぐるにまく方法。この方法は、ウェーターが皿をさげるのに最もやりやすいが、しかし、皿をさげパントリーにおいては、シルバー類と銀紙などのゴミと区別するのがめんどうである。で、この方法は、できるかぎり使用しないのがよい。
- 良い例
銀紙を、ただ、フォークとナイフの下へ置くとよい。この方法は、ウェーターが皿をさげやすいし、また、パントリーにおいても、シルバーなどや皿などと食べ物の残りカスとを区別しやすい。この方法は、現在、最も多く利用されている。
第7章 飲食・喫煙