第21節 人前横切り
教室・ロビー内などで、人が座わっているときに、10m以内に自分がいて、その人の前を横切ろうとするときに、行なう。
しかし、その人との間に、どちら向きにか座わっている人がいるときは、そこで、前横切りは、いらない。
前横切りは、次図の実線の範囲内で、行なう。
【型1】水平自身長
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内本持たず
総論44節「用語の約束」を開きます。
- 相手側の足が前に出たとき、相手側の手を身体につける。
- そのとき、相手側の手は、ズボンのぬい目に、そわす。
- そのときの手は、親指を中に入れ、4本指を、ピンと伸ばす。
- 同時に、相手に会釈をする。
a.、b. を、一挙動で行なう。
【型2】水平自身長内本持ち
左手で本を持つものとする。
- 相手が自分の右側にいる場合
本を胸のわきの所でしっかりと持ち、右手と目で、あいさつをする。
(本を持たないときと同じ)
- 相手が自分の左側にいる場合
会釈のみで、あいさつする。
【型3】水平自身長外本持たず
- 相手側の足を出すとき、相手側の手を大きく引く。
このとき、身体全体が、相手側に自然と向くが、まだ相手の目を見ない。
- 次に、相手と反対側の足が出た、その瞬間に、相手の目を、一瞬、見る。
- このとき、表情に注意すること。恐い目つきをされぬよう。
少々、ほほえみを心がけられるように。
- とくに、女性は、表情を美しくされること。
- 次の瞬間で、正面を向かれ、すまして歩かれよ。
- ①と②の範囲で左足が入る。
この範囲を75cmと定める。(女子は65cmとする)
- 次に、③と④の範囲で右足が入る。
(相手が自分の右側にいるときは、この逆である)
- 最初、のろのろと10回位、練習する。
このとき、「タッタッタッ1・2」 と自分で言うか、言ってもらうかする。
- 徐々に、スピードをつけていく。
とくに、「1・2」 を、すばやく、行なう。
【型4】水平自身長外本持ち
左手で本を持つものとする。
- 相手が自分の右側にいるとき
本を持たないときと同じで、左手で、本を持ったまま「1・2」と2挙動で、行なう。
- 相手が自分の左側にいるとき
左手が使えないので、会釈のみ。一挙動で、行なう。
【型5】並んでいる二人の前を通り抜ける
並んでいる二人の前を通り抜けるとき、どうしても、その中のエライ人物にだけ、会釈して、もうひとりを、ぞんざいに扱いやすいものである。
二人に、「平等に」、そうして、「別々に」、会釈されよ。
【型6】向き合っている二人のあいだを通り抜ける
A、B 2名のあいだを 3m以内として、このあいだをCが通り抜けるとき、ABのいずれが座っていようとも、いずれが上位の者であろうとも、
- A、B間のまん中を
- いくばく、歩速をゆるめ
- いくばく、頭を下げ
- A、B、いずれのほうも向かず、
通り抜けられよ。
こうして、通り抜けようとするとき、小声で、「失礼申し上げます」(「Excuse me」)という言葉を、添えられるとよい。
【説明】
現代日本人は、平然と、人の前を通り抜ける。
が、欧米人は、どうしても、人前を通り抜けなければならないとき、かならず、「Excuse me」 と言っている。
第1章 立居振舞