第4節 ヘッコラされるな
【通解】ヘッコラされるな
- 江戸の下町の職人は、ヘッコラした。
明治時代以後、これが、全国に広がり、ヘッコラが、「庶民風」 をあらわす、1つの作法となった。
で、いまでも、ヘッコラしないヤツは、「威張ってやがる」 と思う風習が、あちらこちらに残っている。
このような風習は、日本においてのみならんや。
ヨーロッパでも中世職人社会にあった風習である。
ただヨーロッパでは、首をすくめ、両肩を上げて見せたり、両手をズボンのポケットにつっこんだまま、やたらに、物を蹴っ飛ばしたり、親しさをあらわすため、長い脚で、相手の尻を蹴ったり、ゲッと、笑ったあと、何くわぬ顔をしたり……。
チャップリンの形は、だいたい、中世ヨーロッパ職人の形を、誇張表現したもの。
で、これは、チャップリンの創案になる滑けいの形でなく、かれらから見れば、ロンドンのダウン・タウンあたりにあった、伝統的に、なつかしい 「庶民の形」 なのである。
- さて、こん日、こういった西洋風ヘッコラは、なくなってしまっている。
それなればこそ、チャップリンの存在意義がある。
なぜ、かれらは、ヘッコラをやめたのか。
ほんとうに四民平等で、上品な社会をつくるのに、じゃまになったからである。
- 日本でも、ヘッコラは、やめたい。
- ヘッコラすることは、自分を卑下して示す行為のつもりでも、相手を、軽べつする行為となる。
第5章 立居振舞