第４章　美容と服装 ◆第16節　ポケット・チーフ

第16節　ポケット・チーフ

1. 上着胸のポケットにハンカチーフを入れ、これを、上にのぞかせているものを「ポケット・チーフ」という。
   
   
2. ハンカチーフが胸のアクセサリーになったのは、１８００年代後半からであり、そのため、上着の心臓の個所にポケットが必ず、つくようになった。
   それまで、ツルンと何もない上着が多かった。
   
   
3. 現代では、燕尾服、モーニング・コート、タキシード、背広を着た以上、ポケット・チーフを装用することが、ひとつの義務のようになっている。
   
   
4. ポケット・チーフは、あくまで、飾りであるから、これを実用しない。
   
   
5. そこで、ハンカチーフでない、然るべき布を用いてもよい。
   
   
6. ハンカチーフは、日本製のばあい、一般に１辺４２cm であるが、輸入品は１辺４８cm 。
   
   
7. ポケット・チーフは、胸ポケットに入れて、動きまわるうちに、ポケットの中に、落ち込んで、形をなさなくなるものであるから、ポケットの内側にピン止めしたり、その他、さまざまの方法を講じてよい。
   
   
8. ポケット・チーフは、大礼服、中礼服、小礼服* とした場合、つねに、純白色でなければならない。
   第４章第９節【通解】「礼服の体系」を開きます。
   
9. ポケット・チーフをネクタイと共色（ともいろ）にするのは、遊びのとき、緊張しない家庭訪問のとき、そうして、リゾート・ホテルで、客と同じ気分を出すために、ホテルマンが行なうときに限る。
   
   
10. いかなるときも、ポケット・チーフを純白でもなく、ネクタイと共色（ともいろ）でもない色にしてはならない。

1. 三山折り（ Three‐pointers, Three‐tops )は、大礼服、中礼服、小礼服のとき、用いる。
   もっとも、改まったときの形。
   
   
2. すべて、「絹」、「麻」。
   
   
3. 「三山折り」には、３種類ある、礼服において、どれを使ってもよい。
   
   
   1. 三山折り…… The Cross over
      

      三角に折る	右の角を折る
      同様に左の角を折る	さらに右の角を折る
      同様に左の角を折る	下部を折る
      裏返す	チーフ・ホルダーに入れる
      ポケットに入れる

      
      
      
   2. 三山折り……中立て
      

      三角に折る	続いてそれを２つに折るが、とんがりを３つとする
      さらにそれを３つに重ねる	チーフ・ホルダーに入れる
      さらに左下の角を折返す	チーフ・ホルダーに入れる
      ポケットに入れる

      
      
      
   3. 三山折り……外立て
      

      三角形にたたむ	左を折る
      右も同様に折る	２つにたたむ
      左の角を折り返す	下の角を折り返す
      チーフ・ホルダーに入れる	ポケットに入れる

1. この型は、いくばく、改まったときに用いるとよい。
   
   
2. 「絹」か「麻」。
   
   
3. 折り方

   半分に折る	これを左右均等になるように台形に折る
   右端を手前に折る	同様に左を折る
   これを裏返す	チーフ・ホルダーに入れる
   ポケットに入れる

   
   
4. 一文字ポケット・チーフを用いるとき、ポケットの上にのぞかせているポケット・チーフの上下巾を、左右同じにしていると、人間の目の錯覚によって、脇すじ寄りが細く見えてしまう。
   で、ポケット・チーフの脇すじ寄りを、わずかに太くすることによって、全体のバランスがよくなる。

1. この型は、それほど、フォーマルでないが、しゃれた形であって、ホテルによっては、フロントマンのポケット・チーフを、この型に統一しているところもある。
   
   
2. 折り方

   三角に折る	三角の頂点の上の一枚を左の角に重ねる
   次に右の頂点の上の一枚を同様に折る	さらに残りの一枚の頂点を同様に折る
   右の角を裏に折り返す	下の角も同様に折り返し、形を整える
   チーフ・ホルダーに入れる	ポケットに入れる

1. この型は、葬儀、会議、事務などのときに適している。
   しかし、だいたい、どのようなときも使える。
   
   
2. 「絹」か「麻」。
   
   
3. 折り方

   半分に折って長方形をつくる	さらに２つ折り正方形をつくる
   左の辺を折る	半分に折る
   下の辺を折って深さを調節する	チーフ・ホルダーに入れる
   ポケットに入れる

   
   
4. ポケット・チーフの出し方
   身長　×　０.１（ 平方cm )　の式によって求める。
   〈例〉　身長１７０ cm　のとき
   １７０ cm　×　０.１　＝　１７ 平方cm
   この式によって出た数値を、自分のポケット・チーフを出す面積と考えられよ。

一文字の外側を、内側に１cm ほど折り返し、アクセントをつける。

1. この型は、どのようなときにも使える。
   
   
2. 「絹」か「麻」。
   
   
3. 折り方

２つに折り長方形を作る	さらに２つに折り正方形を作る
右の角を折る	同様に左の角を折る
下の角を折る	裏返す
チーフ・ホルダーに入れる	ポケットに入れる

1. この型は、気軽な訪問とか、気軽なパーティーなどに用いるとよい。
   
   
2. 「絹」。
   
   
3. 折り方

   チーフの中央あたりを軽くつまみスソをたらす	もう一方の手で、たらしたチーフの中ほどをつかみ上に出ている部分の形を整える
   チーフ・ホルダーに入れる	ポケットに入れる

   
   
4. この型には、側面的な効用がある。
   いま、もし、下図のような仕立ての上着となっていたものとしよう。
   
   このとき、ポケット・チーフを、どのような折り方にしても、襟のかげにかくれて、少ししか、見えない。
   で、このとき、ポケット・チーフをこの「ふくらみ入れ」にして、少し、外側に、引っぱっておくと、形になる。

1. この型も、気楽なときのもの。
   
   
2. 「絹」。
   
   
3. 折り方
   ポケット・チーフの中央あたりから無造作にポケットにつっこむ。

相手が多数のとき、いつもよりポケット・チーフをたくさん出す。
このとき、各個人の体付きの違いによって、面積を変える。
ポケット・チーフの見えている部分の面積を約２５平方cm とする。

1. 身長１６０cm 台の人　約２５平方cm
   
   
2. 身長１８０cm 台の人は、ポケット・チーフの出る高さを、６cm 以上とする。