第6章 和式作法 ◆第10節 接待側として、宴会の始まりでのお酌
前節 次節

第10節 接待側として、宴会の始まりでのお酌


  1. こちら側の社長は、向こうの社長およびそれ以下の者に、次々と酒を注いでゆく。

  2. こちらの次席は、向こうの次席から注ぎ始めるのが作法である。
    が、すでにして、こちらの社長が、かりに、向こうの第3席の者にまで注いでしまっていると見たとき、こちらの次席は、向こうの第4席以下に対して注いでいること。

  3. こちらの次席以下は、こちらの上座の者が向こうに行っての、酒の注ぎまわりをくい止めるために行くと思えばよい。

  4. 図説
    229
          229a1は、先方でその日にいちばんえらい人。
           229a2以下は、229a1に次いで、先方でのえらい順に並んでいる。

    1. 229b1は、まず、進み出て、229a1から、229a2以下へと酒を注いでゆく。
      このとき、229b2は、229b1より、いくばく遅れて、229a2から注ぎ始めようとつとめる。
      こうすることによって、229b1は、229a1のみに酒を注げばよくなる。(図1)

      けれども、そのときの具合によって、すでに229b1が、229a2、ときには、229a3ぐらいまで酒を注いでしまっていることがある。
      そのような場合、229b2は、まだ注いでもらっていない、229a3または、229a4以下に注いでいけばよい。(図2)

      229b3以下の者は、229b2と同じようにすればよい。
      つまり、229b2が、まだ注いでいない残りの客のうち、できるだけ、番号の若いところから注ぎ始める。

    2. ところで229b1が、229a1229a2へと注いでしまい、229b2が、出そびれているうちに、229b3が、229a3229a4…と酒を注いでしまったものとしよう。
      このような場合、229b2は、あとから出てゆく。
      平気で、229a1の前にいたり、すでに、229b1の注いだあとから注げばよい。
      そのとき、229b2は、相手方の第2杯目を注ぐことになるので、こちら側の、誰かのお酌にぶつかるまで、注ぎ進めなければならない。

    3. 結果として、229b1よりも、229b2のほうが相手方に行って、上座のあたりをうろつくことになるが、やむをえない。

    4. 229b1は、229b2以下の者が、自分の右手から追って来て、となりまで来たと見るや、立ち上がって、自席にもどってよい。
      あるいは、もういちど、229a1229a2あたりに酒を注ぎ、一言ずつ、先方と会話をかわしてから、自席にもどってよい。
      なお、229a1以下は、その場の空気によっては、229b1以下に酒を注いでまわられたほうがよい。

     「おながれちょうだい」などは、なるべくしない。

第6章 和式作法
[立居振舞] [座 礼] [立 礼] [座敷作法] [座ぶとんの作法] [日本茶の歴史]
[茶のいれ方] [日本茶の供茶作法] [和 酒] [接待側として、宴会の始まりまでのお酌]
[日本料理の概念] [日本料理の流れ] [本膳料理] [本膳料理の体系]
[茶懐石料理の沿革] [茶懐石料理作法] [宴会料理] [宴会料理食事作法]
ホーム
前節 先頭行 次節