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1997年5月31日
講師紹介
曽根原 文平 先生

曽根原 文平 先生

−黒部最後の職漁者−
写真:曽根原先生
大正4年3月、大町市八日町の蚕種業「カクヨ」の五男として生まれる。旧制大町中学を卒業後、昭和12年憧れの「満鉄」(旧南満州鉄道株式会社)に入社。
これからというところで終戦、敗戦の混乱の中で妻を病で失い、昭和21年10月幼い2児を抱え失意の中で帰国する。
職にもつけず、やむなく兄の誘いでイワナ釣りを始める。昭和23年7月、意を決して、職漁者として黒部にはいる。当年33才。運良く、ベテラン職漁者の遠山富士弥と出会い、職漁者のすべてを修得する。
1日に200匹ものイワナを何日も釣り続け、それを燻製にして持ちかえり、料理屋などに売り歩く。順調なときは勤め人の給料より、よっぽどよい稼ぎだった。
しかし、黒四ダム工事の影響でイワナも釣れなくなり、やむなく職漁を諦め、関西電力の臨時雇いとして黒四ダム工事現場で働く。その後、横浜の港湾会社で定年まで勤め、現在は生まれ故郷の大町市の高台で悠々自適の生活を送っておられる。
飄々とした風貌と何とも味わいのある語り口は、聞くものの心を捕らえて離さない。



<本の紹介>

「イワナU 黒部最後の職漁者」
曽根原文平述 志村俊司編
白日社 発行
写真:本