第1章 論文の書き方
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第41節 漢字とコマ枠との関係


  1. ここから、諸君の文字を、ひとりでに美しくするコツへと入っていく。

  2. まい年、学生諸君は、ここの部分で、猛烈な抵抗感を感じられる。
    わたくしも、それを知っている。
    が、わたくしは、いささかも、妥協申し上げない。

  3. たとえば、ゴルフがうまくなるためには、背中の筋肉を、全部、つけかえなければダメである。
    文字もそうである。
    で、その内容に入ろう。

  4. 漢字は、1コマの上枠と下枠に乗るように書かれよ。(△2)
    ただし、図表での文字は任意の大きさでよい。
    ここでのコツを申し上げる。原稿用紙のコマの上枠と下枠に、それぞれ、電流が流れていると思われよ。
    いま、文字の上と下を、それぞれ、この上枠、下枠に触れさせることによって、この文字に、電気が通じたと思われよ。
    もっとも、たとえば、「章」といった文字では、上の「立」と、下の「早」のあいだに 線がつながっていないから、上下に、電流が通じると申しても奇妙なのではあるが。
    このことは、後記する「かな文字」のときも、同じことがいえる。

  5. ただし、文字が上枠からも下枠からも、1mm以上、はみ出さないよう注意されよ。(△2)

  6. これらを拡大して、眺めよう。上枠での例である。
    上枠につける

  7. さて、しかし、漢字も文字によっては、上下枠いっぱいに書くと、字形が、こわれてしまう。
    教育漢字911字の中から、その例を拾ってみると、つぎの73字(73÷911字=約8%)が、そうである。
    こういう文字は、コマの上下枠いっぱいということを忘れてよい。
     
      下枠にだけ乗せる文字 上・下枠の両方に乗せない文字
     
    以 因
     
    円 塩  
    王 恩 温  
    下 可 何 河 活
    器 極 玉
     
     
    個 五 候 谷 興 口 工
    死 思 似 児 止 酒 拾 上 示 士 四 七 日 如 心 人 昭
    世 然 西 石 切
     
     
    丁 典
     
      二 入
    白 万 畑 八
      必 品
     
     
     
     
     

  8. この6文字については、「へん」を上・下枠につけ、「つくり」を上・下枠から離す。(△2)
    加、価、和、取、収

  9. これら73字等の文字を、1日に1回、習字されると、つぎの2つのメリットがある。

    (1)  これらの文字がうまくなる。
    (2)  これら以外のすべての漢字は、機械的に、上下枠に付けて書けばよいことがわかる。

  10. 「理」や「地」など、へんとつくりから成る漢字は、字形をこわさないよう、へんかつくりかどちらかが、上下枠に付いていればよい。
    さて、漢字はコマの左右巾いっぱいに書かれると、隣の文字にくっついてしまう。
    で、文字の左側も右側も、それぞれ、マス左右巾の中に、わずかなスキ間をつくられよ。
    (例)
    国

    ただし、「徹」や「趣」など、横幅の広くなる漢字については、例外とみなす。
    コクヨ「ケ35」の用紙の1コマは、上下巾 8mm、左右巾 7.5mmとなっている。
    ここに、上下巾いっぱい、左右巾6/8の文字をはめこむのであるから、その文字の大きさは、タテ 8mm、ヨコ 5.625mmというものになる。
    たしかに大きい。
    この大きさは、習字のためである。
    実務上は、タイプ用原稿であっても、タテ 5mmでよい。
    そうして、この文字は、ヨコ巾1に対して、タテ1.42という比を持っている。
    ほぼ、黄金比にあたっているが、それにしても、すこし、タテに長すぎないか。
    が、会議に提出した文書は、机上に置いたまま、だいたい45゜ななめ手前から眺められることとなる。
    このとき、上下巾 8mmの文字は、上下巾 5.7mmに見える。
    このとき、ヨコ巾1に対して、タテ1.01にしかならない。
    つまり、机上実務の文書は、展覧会でのパネルの文字と異なり、タテ長にしておくほうが、読みやすい。

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