第9章 作法での国別特殊事情◆第4節 中国での乾盃
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第4節 中国での乾盃


  1. 乾盃は、盃を乾すべきものである。
    中国、ドイツ、ロシアでは、盃を乾したあと、盃の中底を相手にむけて、会釈する。
    互いに、こうして、よい気持となる。

  2. が、これらの国や日本を含め、世界中、こん日では、乾盃とは、盃を手で上げることにかわっている。
    そのあとは、必ず、盃を口に持ってゆき、上くちびるに洒をつけられよ。
    さらに、そのあと、どのくらいまで飲むかは、そのとき、自由に考えられよ。
    アメリカの大統領ともなれば、一席の宴会での乾盃回数70回。しかも、飲んだ酒量が合計10cc といったこともある。

  3. 中国では、全員乾盃のほかに、個別乾盃が多い。
    一座で、並んで食事をしているとき、むこうから、「○○先生、乾盃」といって盃をあげられたならば、こちらも、盃をあげて、「乾盃」(かんぺい)といい、飲みほし、盃の中底を、先方に見せる。
    ただし、先方が、盃の中底を、こちらに見せないのに、こちらが、それを行なうと、先方は、飲めない酒を飲み乾して、こちらに、中底を見せなければならないから、先に、行なわれるな。

    先方が「かんぺい」といったとき、こちらの盃が空でも、「ちょっと待って下さい、酒を注ぎますから」では、正直すぎる。
    空の盃でも、持ち上げて、飲みほす真似をされよ。
    このとき、ノドボトケを、ごくりとやらないと、ウソッパチの感じとなる。

    先方から、乾ペいをいただいたならば、かならず、こちらからも、乾ペいを奉らなければならない。
    すこし、間を置いて、こんどは、こちらから、「△△しぇんしぇい、かんぺい」と、盃をあげる。

    ところで、先方の名前が解らないことが多い。名刺をもらっていても、だいたい、読め ない。

    こういうとき、平気で、隣りの人か給仕者に、「あの方の名前を教えて下さい」と小声でいうことである。
    給仕者によっては、のこのこと、本人のところへいって、「あんた誰? あの人が、きいてるよ」とやるが、こちらは、知らん顔をしていればよい。
    やがて、知らされた名前を、平気で、ペンと紙を出し、書きとるとよい。
    名前のあとに、「先生」という文字をつけて書けば、覗きこんでいる給仕者にも、いやな気持にならない。
    先生の名前を、横書きし、その下に、ローマ字で、きこえたとおりに書いて、給仕者等に見せれば、間違っているとき、書き直してくれる。
    台湾、香港での給仕者は、すべて、ローマ字ぐらい、正確に書ける。
    これらの仕草は、先方や、残りのみんなにも、まる見えであるが、失礼となっていない。
    そこで、こちらは、しずしずと、「△△先生、乾盃」をやる。
    先方は、すこぶる、よろこばれる。

    中国には、同姓の人が多いから、一座の中に同姓の人が2名以上、いることに気付いたとき、2人目以降には、姓名をつけて、呼ぶことである。

    たとえば、呉慶洪氏ならば、呉先生慶洪という。呉慶洪先生はアウト。

    こうやって、10数名との乾盃のやりとりをやっていると、2時間ぐらいは、すぐに経ってしまう。
    それが宴会。しみじみと、この宴会の味わいも感ぜられてくる。
【参考】席順    図:席順
  1. 入口から最も遠い所が、主客の席となる。

  2. この際、迎える側のホステスは、お客の接待をするために、席に座ることは少ない。

  3. もし、座るのであれば、 になる。






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